浜口京子とクリスチン・ノードハゲン(カナダ)が壮絶スパーリング



 宿敵へのリベンジを果たし、浜口京子(75kg級=浜口ジム)が世界一奪還に燃える! 9月26日から米ニューヨークのマジソン・スクウェア・ガーデン(MSG)で行われる世界女子レスリング選手権へ向け、全日本女子チームは新潟・十日町市で最後の強化合宿に入り、カナダのナショナルチームを迎え撃った。浜口は昨年の世界選手権で敗れた宿敵クリスチン・ノードハーゲン(カナダ)を圧倒。順調な仕上がりをアピールした。


 14日に来日したカナダ代表チームは、愛知県の中京女大での1週間にわたる合宿を経て、21日に日本チームと合流した。浜口とノードハーゲンは新潟県十日町市の山奥にある日大レスリング部合宿所で約1年ぶりに再会した。

 2年連続で世界一を競い、1勝1敗と互角の成績を残している2人は、約1年ぶりの顔合わせに抱き合って喜び、練習が始まると、どちらからともなくコンビを組み準備体操などをこなした。

 まさに“きのうの敵は今日の友”。ことしはノードハゲンが1階級落として68kg級に出場するので世界大会での対戦はない。ライバル意識より、死力を尽くして戦った相手への仲間意識の方が強くなっているのだろう。

 だがスパーリングに入ると、浜口の目は野獣と化し戦闘モードに突入した。応援団もいなければ、レフェリーもいない。相手への尊敬の気持ちがルールであり、勝敗は2人の心の中にだけ刻みつけられる。お互いを最大のライバルの認め合う2人の戦いは、折しも迫り来ていた台風をもはねのけんばかりの熱気にあふれていた。

 浜口は“1年前の私とは違う”とばかりにきれいにタックルを決め、続けざまにポイントを奪取。技術、パワーで昨年の世界王者を圧倒し、1ポイントも与えぬまま5分間が終了した。

 「まさかこんな形で一緒に練習できるとは。今回は彼女が68?級にエントリーしているので本番では戦えませんが、スパーリングでも何でもとにかく一度戦って、この1年間の練習が間違っていなかったことを確認したかった。とても満足しています」

 昨年の敗戦にけりをつけた浜口は、休む間もなく今大会のライバルとなる75kg級のオフェネワ・オクーホと対戦した。ノードハゲンよりパワーで上回る相手とのぶつかり合いはヒートアップし、2人は勢い余って何度となく壁に激突。だが、常にいい位置をキープしているのは浜口であり、実力の違いは明
らかだった。

 「残り1カ月、父(アニマル浜口日本代表特別コーチ)と最終チェックをしながら走り込み、今まで以上の状態で臨みます」 

 格闘技の殿堂のMSGで真っ赤に光り輝やくため、“史上最強の女子格闘家”浜口京子は、自らを奮い立たせ赤々と燃え上がっている。

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