社会人大会の行く道

 今年も、社会人で唯一の団体戦が見られる季節になった。昨年は、ジャパン・ビバレッジ(旧ユニマット)のレスリング部が本格再始動するということでプロモーションが行われ、にぎやかな団体戦だった。

 ジャパン・ビバレッジは昨年同様、ソウル五輪フリー48kg級金メダリストの小林孝至など五輪メダリストを中心にメンバーを組み、団体戦に出場してきた。

 太平洋石油戦を順調に下し、決勝では笹本睦や平井満生ら現役トップ選手をそろえる綜合警備保障と対戦した。しかし、決勝のマットにはそうそうたる五輪メダリストの姿はなかった。結果は準優勝。五輪メダリストたちを出場させれば、昨年同様、優勝できたのではないか。

 「一般社員でレスリングをしてくれている人たちもいますから、彼らにぜひ、試合をさせてあげたかったんです」

 自らも最重量級で出場した鈴木光監督は、決勝のメンバーが第一試合とがらりと変わった理由をこう語った。

 中学、高校からレスリングづけの生活を送り、世界を目指してきた人たち以外にも選手はいる。特に、昨今の格闘技ブームのおかげで、格闘技に対する偏見が薄らいできた。そのためか、仕事を持つようになってからでも、体力づくりのひとつとして取り組む人も増えている。

 アマチュアの大会とは、出場したい意思のある人ならだれでも出場できる、というのが望ましい形なのだろう。しかし、現実はそうもいかず、大人になってから競技に取り組んだ人が試合をしづらい現状がある。

 社会人の大会とは、どういう形で開催するのが望ましいのだろうか。見えづらい裾野まで目配りするのは難しいかもしれないが、レスリングという競技の発展を望むならば、ぜひ考えてゆかねばならないポイントになっていくだろう。

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