世界一奪還の序章!…浜口京子

 女子75kg級の実質的な決勝戦のリーグ3回戦のマットに浜口京子(浜口ジム)が上がると、観客席にいた父・アニマル浜口さんは突然上着を脱ぎ捨て、上半身裸になって娘に気合いを入れた。「燃えろ! 暴れろ!」1997年に京子を世界一に育てた時から、常にセコンドとしてマットサイドにいたが、総合大会であるこの大会IDカードの関係で、観客席からの応援だ。

 母は叫んだ。「相手はびびっているぞ」。そして病をおして東京から駆け付けた93歳の祖母が声援をおくった。「京子〜」。

 相手の姜雪艶(中国)は豪州と台湾の2選手にともにフォール勝ちをおさめている。しかし、京子の敵ではない。タックルで攻めると、すぐにけさ固めへ。攻撃の手をゆるめずに攻めた京子は、わずか53秒、フォールを決め、金メダルを獲得した。

 2004年アテネ五輪への正式種目採用を目指す女子レスリングにとって、初めて日本オリンピック委員会(JOC)のもとで行われた記念すべき国際大会。それだけに「絶対に勝ちたい」と言い続けてきた。

 「相手と向かい合った時、自分の方が気迫で上回っていると思った。力いっぱい攻め切ることができました。応援してくれた皆さんの前で優勝することができ、とてもうれしいです」と京子。昨年9月の世界選手権で敗れて(3位)多くのことを学び、それを勝つことで示した。

 次は9月のニューヨーク(マジソン・スクウェア・ガーデン)でその勇姿を見せてくれることだろう。


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